作業行程

村山大島紬の特徴は板締めによる染色です。板の溝の彫り方から糸の巻き方、並べ方まで経験と熟練が要求される高度な技術から、緻密で、シックな絣模様が織り出されます。
一般的には絣板は経、緯併せて150枚程度が使われます。
絣板の原料となるのは樹齢70〜100年以上の水目桜の巨木です。

行程1

絣板製作

行程2

精錬加工

原材料の生糸を釜で煮て不純物を取り除きます。生糸はにかわ質が付いておりそれを取ることにより中にある成分だけになり、なめらかさや光沢が生まれます。

行程3

地染め

地糸はヘマチンなどの植物染料を用い鉄媒染などで染色されます。女物の場合、経緯2種類の地糸が使われます。

行程4

整経

経糸、緯糸の長さを柄の大きさによって必要な長さや本数をそろえます。絣糸を含め4種類を作ります。その種類により、太さや撚りが違っています。

行程5

板巻・板積み

絹糸を絣板に一枚一枚挟み込み隙間が出来たり、重ならないように一定の間隔にします。大変熟練を必要として、その出来により製品の善し悪しが大きく左右されます。

行程6

板締め注入染色

経絣、緯絣別に板積みされた物を船と呼ばれる流し台の上に寝かし、ボルトで締め付け染料を流し込みます。挟まれたところは染まらず、開いているところが染まります。
ボルトの締め具合により絣の大きさが変わったり、染み込み
すぎたりして、とても難しい作業です。
これが村山大島のいのちと言われる所以です。

行程7

すり込みな染

板締め注入染色では一色にしか染まらないので、他の色を付けたいときは別に「すり込みな染」の技法を用います。染め上がった絣糸を部分部分ごとに分けて縛り、絣のずれを防いで図案に照らし合わせて、竹べらに木綿糸を絡めた特別のへらを用いて染料をすり込んでいきます。そしてその糸を蒸し箱に入れて蒸し、染料を定着させます。

行程8

機巻

経て糸は絣糸と地糸を合わせながらお巻きに巻き取ってゆきます。正確に柄を合わせながらの仕事はその後の機織りのしごとに大きく影響するとても大事な仕事です。

行程9

製織

機巻に巻き取られた経て糸は綜こう、おさに通され織機に架けられます。
管巻された緯絣は地糸といっしょに経て絣に合わせて織られてゆきます。
一本一本正確に絣を合わせますから、たいへん手間と時間がかかります。

行程10

検査

村山大島紬は出荷前に必ず検査を行います。検査は寸法や堅牢度、絣などの検査がなされ、この検査に合格した物だけが伝統的工芸品の証紙と伝統マークが付けられます。